1. パーソナルコンピュータの活用
パーソナルコンピュータの世界は驚異に満ち溢れています。Pentiumを搭載した超高速処理スピード、ギガバイト単位のハードディスクを搭載したPC機が市場を賑わしています。現在のPC機の処理能は、一時代前のミニコンピュータ、オフィスコンピュータや汎用機の処理能力を上回っています。何故、この安価で、コストパフォーマンスの優れたPC機をまっと活用しないのでしょうか。PC機は名前のごとく個人利用の専用機と云う既成概念が定着しているからです。しかし、M言語の世界では、PC一台をサーバにして、64台のターミナルを処理する医事会計システムが日本でも稼働しています。
適切なソフトウェアと適切なインターフェイス機材を用意すれば、充分、従来の汎用機の代替として利用出来きコストパーフォマンスの優れたコンピュータシステムを構築しダウンサイジングすることが可能です。
2. M言語の世界
M言語は、近年に創造された新しい言語ではなく、既に二十余年の長い歴史の中で高度に磨きあげ、熟成させてきた言語です。M言語は、開発当初から既に大規模データヘースアプリケーションと、マルチユーザシステムを開発するための最も効率の高い方法を模索し研究がなされてきました。
1967年Massachusetts General Hospitalで開発され、Masschusetts General Hospital
Utility Multi-Programming SystemからMUMPSと命名されました。
1995年2月MUMPSがJISに「プログラミング言語MUMPS JISX3011」として制定されました。
M言語とは、MUMPSのことです。
(1) | M言語を利用すれば、マルチユーザシステムが容易に構築できます。PC機と云えども256ユーザ以上のマルチジョブが動作可能となります。UNIXはもちろん、DOS、DOS/V上でもマルチ処理環境を構築することができ、WindowsNT、Windows95、Windows3.1、の環境でも動作します。 |
(2) | M言語では、大容量のデータベースが容易に構築できます。M言語を利用したPC機でさえ16ギガバイト迄のデータベースを確保できます。全てのデータは可変長形式で記録されており、固定長形式のデータベースと比較して、3-4倍のデータ格納能力を持っています。「大福帳システム」に必要な数千万件のデータ処理も可能にします。 |
(3) | M言語は、強力なB-Tree型データベース構造の採用により、データ検索速度は、比類無き高速度を誇っています。無論、排他処理も完璧です。更に、他のデータベース言語と異なり、データベースのデータの追加、削除を繰り返した時に発生する処理速度の低減は、他のデータベースに比べて微々たるものです。 |
(4) | M言語は、言語能力が優れています。BASIC言語よりも簡単で論理的で、更に、強力な言語です。ファイルの領域定義の必要もなく、文字列処理命令や間接指定命令が使えます。C言語や他の言語に頼らずに、M言語自身でマルチ処理プログラムが開発でき、LANを利用したシステムが開発できます。M言語自身、メーカ、機種、OSを問わずソフトウエアの互換性があり、GUIやAPIも搭載されています。又、GUI、DDEやOLE/2を利用したイベント駆動型のプログラムの作成も可能です。 |
(5) | M言語は、LANを直接サポートしています。これからのデータベース言語であれば、LANを自由に活用できるものでなければなりません。M言語では、ユーザの記述するプログラムから直接LANを利用しノード上のデータベースを参照したり更新することができます。LANを利用するために、C言語やソフトリンクを考える必要がありません。もっと身近にLANを利用し、LANの効用を活用できます。 |
(6) | M言語のデータベース障害対策機能は強力です。データベースを構築するシステムである以上必要なデータベース管理やメンテナンス機能を持っています。複数台のCPUでのシャドーシステムや、データジャーナリング、ディスクミラーリング、データベース異常検知システムや、データベースの自動修復機能などが用意されています。PC機のソフトと云えどもデータベースの保守管理は、完璧に行える時代です。 |
(7) | M言語でシステムを構築すると、システム構築時には、その当時のデータベースボリュームに見合ったシステムを採用し、データボリュームの増加や、処理内容の増大に合わせて、システムの最大利用時を考慮して、導入当初から膨大なシステムを導入する必要がありません。設備投資以上の導入効果が期待できます。 |
(8) | M言語は、決してM言語だけの閉ざされた言語ではありません。M言語どうしであればもちろんデータ交換は可能です。無論、他の言語、市販の表計算ソフトウエア(VB、EXCEL、ACCESS,1.2.3等)には、DDEやOLE、OLE/2の機能を利用したデータ交換や、LAN経由の他のプロダクツとのデータ交換には、ODBCが用意されています。無論、データベースの構築や内部的な処理をM言語で作成し、表示系の処理をこれからの機能を利用して他の言語で作成することも可能です。 |
3. M言語とCOBOLでのプログラム比較
同じ給与計算プログラムをCOBOLと、M言語で作成したときの比較データは、次のようになっています。
COBOL | M言語 | % | |
プログラム行数 | 3,600 | 300 | 8 |
IF文の数 | 460 | 89 | 19 |
GOTO文の数 | 650 | 43 | 6 |
プログラムサイズ | 120K | 9K | 8 |
プログラム行数が増え、IF文、GOTO文が増加すると、プログラム作成の難度が幾何学的に増大します。M言語で作成すれば、如何に簡単に効率よく作成できるかを物語る資料です。